米国のドナルド・トランプ大統領の家族が、暗号資産取引所バイナンスへの出資に関して協議していたと報じられている。

ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）が3月13日に 報じたところによると 、バイナンスは2024年にトランプ氏の家族側と接触し、バイナンスUSの米国事業再開を目指す取引の一環として出資交渉を持ちかけたという。

事情に詳しい関係者の話として、報道はバイナンス創業者のジャオ・チャンポン（通称CZ）氏が米国での4カ月間の服役後、トランプ政権に恩赦を求めて動いていると伝えている。

報道では「仮に取引が成立した場合、トランプ家の持ち分がどのような形になるのか、あるいは恩赦が条件となるのかは不明である」としている。

「World Liberty Financial」を通じた取引の可能性も

WSJによれば、トランプ氏がバイナンス株を直接取得するシナリオのほか、2024年9月に立ち上げられたトランプ氏支持の暗号資産プロジェクト「World Liberty Financial（WLFI）」を通じた間接的な取引も可能性として浮上している。

トランプ氏は「初の暗号資産支持大統領」を掲げ、2025年1月20日のホワイトハウス再登場直前に「オフィシャル・トランプ（TRUMP）」ミームコインをローンチ。その後、妻のメラニア氏も類似のミームコインを発行し、息子のエリック・トランプ氏もビットコイン（BTC）や暗号資産の普及に積極的な姿勢を示している。

コインテレグラフはバイナンスに対してこの報道に関するコメントを求めたが、記事公開時点で回答は得られていない。

また、WSJによると、バイナンス幹部はSECによるトロン創業者ジャスティン・サン氏への訴訟について、和解による解決も視野に入れているという。サン氏は2024年11月にトランプ氏のWLFIへ3,000万ドルの投資を発表しており、2025年2月にはSECとの訴訟停止を共同で申し立てた。なお、サン氏もバイナンス関係者も、2025年3月7日に行われたホワイトハウス暗号資産サミットには出席しなかった。

トランプ氏、WSJ報道を即座に批判

WSJの記事が3月13日午後1時（UTC）に公開される数分前、トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」で、報道を強く非難した。

「グローバリストのウォール・ストリート・ジャーナルは、自分たちが何を言っているのか分かっていない。彼らは米国を搾取するために結成された欧州連合（EU）の汚染された思想に支配されている」とトランプ氏は書いた。

トランプ家、バイナンスへの出資協議と報道｜トランプ氏とCZ氏は否定 image 0

Source: Donald Trump

トランプ氏が迅速に反応する一方で、イーロン・マスク氏やデイビッド・サックス氏といったトランプ氏に近い業界関係者からは本件に対する公的な反応は確認されていない。

トランプ家、バイナンスへの出資協議と報道｜トランプ氏とCZ氏は否定 image 1

Source: Changpeng Zhao

ジャオ氏もその後、X（旧Twitter）に投稿し、「この報道はトランプ大統領と暗号資産業界への攻撃が動機だ」として記事の内容を否定した。

バイナンスCEO、トランプ氏を「グローバルな暗号資産支持の原動力」と評価

一方、バイナンスのリチャード・テンCEOは記事公開から1時間以内にはコメントしなかったものの、3月13日にXでCNBCの新インタビューを紹介し、トランプ氏が「世界的な暗号資産支持の変革を促す原動力」であると評価した。

「暗号資産業界の誰に聞いても、前政権より今の政権（トランプ政権）を支持している」とテン氏は述べた。

ただし、一部ではトランプ政権の暗号資産政策に対する不満もあり、米国の外貨準備をビットコイン限定とすべきだと主張する声もある。最終的にはマルチ暗号資産対応という現政権の方針に落ち着いた。

さらにTRUMPミームコインの暴落を受けて、民主党の一部議員が公職者によるミームコイン発行禁止法案を提案している。