米議会下院は、分散型金融(DeFi)プロトコルに対し、内国歳入庁(IRS)への報告を義務付けるルールを無効化する議案を可決した。

3月11日、下院はこのIRSのDeFiブローカー規則の撤廃を求める動議を292対132の賛成多数で 可決し た。この規則は、既存のIRS報告要件を仮想通貨にも拡大することを目的としていた。

反対票を投じた132名はすべて民主党議員であったが、同党の76名が共和党とともに撤廃に賛成した。

3月4日には議会上院が70対27でこの規則の撤廃を 可決している 。

この規則が施行されれば、分散型取引所(DEX)などのDeFiプラットフォームは、仮想通貨取引の総収益や納税者に関する情報をIRSに開示することを義務付けられることになっていた。

議案可決後、撤廃動議を提出した共和党のマイク・ケリー議員は、「DeFiブローカー規則は、数千万人の米国民のプライバシーを侵害し、米国における重要な新興産業の発展を妨げ、IRSに過剰な負担をかける」と コメントした 。

下院金融サービス委員会の委員長であるフレンチ・ヒル議員も、この規則撤廃を歓迎し、「米国のデジタル資産開発を海外に押しやる政府の過剰な介入の典型例だ」と 指摘した 。

この決議は、再度上院の承認を得た後、ドナルド・トランプ大統領に送られ、大統領が支持する見通しとなっている。

一方で、この規則の撤廃に反対する民主党のロイド・ドゲット議員は、「IRSの開示義務から特定の利益団体を免除することで、裕福な共和党支持者によるDeFi取引を利用した脱税やマネーロンダリングが容易になる」と批判した。

また、同議員は「この規則を撤廃すれば、富裕層の脱税者、麻薬密売人、テロ資金提供者に悪用される抜け穴が生まれる」と述べている。

3月初旬には、ホワイトハウスのAI・仮想通貨政策担当のデビッド・サックス氏が、政権がこのDeFiブローカー規則の撤廃を支持することを 表明していた 。

行政管理予算局(OMB)は、「この規則は、米国のイノベーションを抑制し、納税者の個人情報共有に関するプライバシー懸念を引き起こし、米国のDeFi企業に前例のないコンプライアンス負担を課す」と述べていた。